音程の保持力(狂いにくさ)を得るテクニックは人様々である。よく言われるのが 絞る 或いは 押し込む やり方だ。
一般的にこの方法は、一旦要求より高い音程に上げることで高い張力を獲得し、音程まで下げるときにピンを前傾させながら強め゙に打鍵して下げていく。こうして、ピンそのものの捻れや、そのsc1.0側のピンブッシュやピン板を圧迫して得られる一種のバネによる引っ張りに対する抵抗で音程を保持する。もしsp1に高めの張力が残っていれば、それも抵抗となる。
bp1〜bp5の各ポイントも保持力の向上に与っている。また、はずしてみれば明らかだが、弦のそれら屈曲ポイントに対応した位置には屈曲ができていて、いわば引っかかりになるので、これも保持力の向上に役立っているだろう。
これらのことを仮定して、今張力を高くする場合の実際の操作と、tpに近いsc1.0、sc1.1、そして発音される音程に直接かかわるsl各弦長の、操作に伴う動きを考えてみよう。
張力を高くするのだから、チューニングピンの動きはcwだ。そうすると
- sc1.0の張力が高まる
- bp1にあたる弦が動く
- sc1.1の張力が高まる
という変化が順番に起こるのではないだろうか。そしてsc1の張力Tは
とすると、底辺の長さと底辺と斜辺のなす角度から斜辺を求めるので
となる。したがって動静のしきい値は
とおいて、斜辺と角度から高さを求めるので
そして、この張力が次の屈曲点であるbp2にあたる弦を動かす十分な大きさであるとき、次に
- bp2に当たる弦が動く
- slの張力が高まる
変化が起きて、聴覚で「音程が高くなった」と判定される。